「何度言っても聞いてくれない。」
「こんなに伝えているのに、どうして分かってくれないの?」
子どもに向き合う中で、そんなふうに感じたことはありませんか。
最初は穏やかに話していたはずなのに、気づけば声が大きくなり、「また怒りすぎてしまった」と自分を責める。
そんな経験は、子育てをしていれば誰にでも起こり得ます。
厳しいしつけなのに伝わらないのは、親の頑張りが足りないからではありません。
子どもの発達には段階があり、その日の体調や気持ちも影響します。
そして、毎日子どもと向き合う親にも、疲れや余裕のない日があります。
だからこそ、厳しいしつけを続ける前に、「どうすれば伝わらない状況を減らし、子どもに思いが届くだろう」と関わり方を見直すことが大切です。
この記事では、元保育士として、そして一人の母親として感じたことを交えながら、しつけで悩むパパやママへ、子どもに思いが届きやすくなるヒントをお伝えします。
厳しいしつけなのに伝わらないのは、親のせいだけではありません

親が一生懸命向き合っていても、子どもの発達や親子それぞれの状況によって、うまく伝わらない日はあります。
まずは、そのことを知るだけでも気持ちは少し軽くなるはずです。
何度いっても伝わらないと、親は厳しくなってしまう
朝の支度や寝る前の片付けなど、毎日の生活では時間に追われる場面がたくさんあります。
優しく声をかけても動いてくれない。
もう一度伝えても変わらない。
その繰り返しの中で、つい声が大きくなってしまうことがあります。
私は保育士だった頃、「毎日お疲れさまです」と保護者の方へ声をかけていました。
もちろん、その言葉に嘘はありません。
けれど、自分が母になって初めて気づいたことがあります。
それは、私は子育ての大変さを分かっているつもりだったということです。
親には勤務時間がありません。
赤ちゃんが生まれたその日から、365日24時間、子どもの成長と生活に寄り添い続けます。
眠れない夜も、思うようにいかない日も、その積み重ねがあります。
だから、何度伝えても動いてくれないと苦しくなるのは当然です。
これは保育士という仕事を否定したいわけではありません。
今も子どもたちのために力を尽くしている保育士さんは、本当に素晴らしい存在です。
ただ、親になった今だからこそ、「子育ての大変さは、実際に経験して初めて分かることもある」と感じています。
子供は「聞いてない」のではなく「できない」ことがあります
子どもが同じことを繰り返すと、「話を聞いていない」と感じることがあります。
しかし、実際には「できない」ことが理由の場合もあります。
例えば、遊びに夢中になっている子どもに、
「靴を履いて、帽子を持って、水筒も持ってきてね。」
と伝えると、一つ目はできても、その先を忘れてしまうことがあります。
これは親の話を無視しているとは限りません。
幼い子どもは、一度にたくさんの情報を整理したり、気持ちを切り替えたりする力が発達の途中だからです。
もちろん、発達には個人差があり、この様子だけで何かを判断することはできません。
だからこそ、「どうしてできないの?」と責めるより、「何が難しいのかな」と考えてみることが、子どもを理解する第一歩になります。
「厳しさ」より「伝わり方」を変えると親子は少し楽になります

子どもは厳しい言葉だから動くのではなく、分かりやすい伝え方のほうが行動につながりやすい場面があります。
伝え方を少し変えるだけでも、「伝わらない」と感じる場面が減ることがあります。
一度に一つだけ伝える
親はつい、一度にたくさんのことを伝えてしまいます。
「顔を洗って、着替えて、ご飯を食べて、歯磨きしてね。」
でも、子どもにとっては情報が多すぎることがあります。
そんなときは、まず一つだけ。
「顔を洗おう。」
それができたら、
「次は着替えよう。」
というように、一つずつ伝えてみてください。
たったそれだけで、「できた」が増える子もいます。
子どもは成功体験を積み重ねながら、自信と行動力を育てていきます。
だからこそ、「全部できること」を求めるより、「一つできたこと」を増やしていくほうが、結果として親子双方の負担を減らすことにつながります。
できた瞬間を見逃さない
子どもは、できないことよりも「できたこと」を積み重ねながら成長していきます。
しかし親は毎日忙しいからこそ、できなかったことのほうが目につきやすくなります。
例えば、
- 靴をそろえた
- 「ありがとう」が言えた
そんな小さな成長でも、その場で言葉にして伝えてみてください。
「自分でできたね。」
「助かったよ。」
それだけで、子どもは「これでよかったんだ」と安心できます。
反対に、「今日はできたね。でも昨日はできなかったよね。」と過去と比べる必要はありません。
その日の「できた」を認めることが、次の「やってみよう」という気持ちにつながります。
元保育士の私が母になって初めてわかったこと
保育士として学んだ知識は役立ちましたが、それ以上に私を成長させてくれたのは、母として過ごした毎日でした。
子育ては、思いどおりにならない日の連続です。
だからこそ、「分かっている」と「実際にできる」は別のことなのだと実感しました。
知識より難しかった「毎日の積み重ね」
保育士だった私は、子どもの発達や関わり方を学び、多くの子どもたちや保護者と接してきました。
それでも母になって気づいたのは、知識だけでは乗り越えられない毎日があるということです。
寝不足の日。
自分の体調が悪い日。
仕事や家事に追われる日。
そんな日は、頭では「落ち着いて話そう」と分かっていても、その通りにはできませんでした。
私はそのたびに、「保育士だったのに、どうしてできないんだろう」と落ち込んでいました。
でも今は、そう思う必要はなかったと感じています。
親は毎日、子どもと生活しています。
うれしい日も、苦しい日も、一緒に積み重ねてきました。
赤ちゃんの頃から365日24時間、その子の成長を一番近くで見守ってきたからこそ、「ちゃんと育てたい」という思いは誰よりも強くなります。
だから、思いが伝わらない日は苦しい。
怒ってしまった自分を責めてしまう。
それは愛情が足りないからではなく、子どもを大切に思っているからこその気持ちではないでしょうか。
私は今でも考えることがあります。
「子育ては大変じゃない」と心から思える親はいるのだろうか、と。
職業や経験は関係ありません。
親になれば誰でも悩み、迷いながら子どもと向き合っています。

だから私は、「子育てが大変」と感じることは、決して恥ずかしいことではない思ってるよ。
親も子どもも完璧じゃなくていい
子育てに「これが正解」と言い切れる方法は確認できません。
子どもの性格も成長のペースも、一人ひとり違うからです。
だからこそ、毎日100点の親でいようとしなくて大丈夫です。
思うようにいかない日があっても、「さっきは怒りすぎたね、ごめんね。」と伝えられたら、それも大切な親子の時間になります。
子どもは親の完璧な姿ではなく、人を思いやり、やり直そうとする姿からも多くのことを学びます。
私自身も、今でも反省する日はあります。
それでも翌日には、「今日は昨日より少しだけ笑顔で話してみよう」と思いながら、子どもと向き合っています。
親も子どもも、一緒に成長していけばいい。
今はそう思えるようになりました。
まとめ|子どもに伝わるのは「厳しさ」ではなく、安心して聞ける関係です
厳しいしつけなのに伝わらないと感じると、「もっと厳しくしたほうがいいのかな」と悩んでしまうかもしれません。
でも、本当に子どもに届くのは、怖さではなく安心して話を聞ける関係です。
一度に一つだけ伝えること。
できた瞬間を認めること。
そして、親自身も完璧を求めすぎないこと。
その積み重ねが、少しずつ親子の信頼につながっていきます。
私は元保育士として子どもたちと関わり、母になって初めて親としての本当の大変さを知りました。
だから今、子育てに悩んでいるパパやママへ伝えたいことがあります。
子どもに思いが伝わらない日があっても、あなたの愛情まで伝わっていないわけではありません。
焦らなくても大丈夫。
うまくいかない日があっても大丈夫です。
子どもに本当に伝わるのは、厳しい言葉ではなく、「何度でも自分を受け止めてくれる」という安心感です。
その安心感があるからこそ、子どもは少しずつ人の話を聞き、自分で考え、成長していきます。
そして、その安心感を育てているのは、毎日子どもと向き合い続けている、あなた自身なのです。


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